自爆霊穂“無実ちゃんと十一人の未来罪人

長編ちっくなweb小説の形をした何か。完結済。

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

対象→辺閂の場合【表】

たいした事も無いだろうよ、今回もきっとな。 室内に自分以外には誰もいない事は分かった上で、俺はつい独白してしまう。 電気仕掛けの四角い箱を起動させ、放送局を変えるべく小さな指示棒のゴム釦を何度か押し、お目当てであった報道番組へとチャンネルを…

【6/8 5:47:34 北園紅蘭 残刻 --:--:--】

爛々と輝く目を携えた、彼こと北園紅蘭が一度死んで結局生き返って、推理小説の名探偵が如く種明かしを披露していた所までは覚えていた。 身体表面の亀裂から溢れる青白い光に包まれ、何かを叫ぶ高低兄妹が消失したとほぼ同時ぐらいに、回理子は気を失ってし…

【6/6 7:57:02 北園紅蘭 残刻 DE:AT:H?】

野晒しであった。 幾分か雨足が遅くなってきているとはいえども、屋外で――マンションの屋上にて、地に伏した北園は風雨にさらされていた。 胸に突き刺さった、否、自らが自らに突き立てた刃は、彼の周囲をより一層赤色で染め上げている。 血が赤色の池を作っ…

【6/6 7:49:52 北園紅蘭 残刻 00:09:22】

積上げられたCDのラックを掻き分けるようにして、男はまだ十分に長さのある煙草を灰皿へと放り込んだ。 「いやね、近頃この町ってばとっても物騒じゃあ、ないですか。先々月はちょうどこの先の区間でトラックが横転する事故があったし、先月は通り魔の多発に…