縷々(るる)として沼に沈み続けていた沙羅は、とある回想を夢に見ていた。 時は凡そ2か月前、場は自宅の一室にて。 男女ツーペアの計四人にて交わされていた、第二回戦へ赴く直前のやり取りである。 ―|―|―|―|―|―|―|―|―|―|―|―|―|―|―|―|―|―…
順風満帆。 その瞬間までは概ねそんな四字熟語の通り、うまくいっていたのだろう。 負ければ即爆死のデスゲームにおいて、彼こと北園紅蘭は戦略上わざと命を落とした後に息を吹き返すという荒業をやってのけたが、事実上の決勝戦においても、未だ生きている…
“欲望の坩堝”即ち固有能力【ジャンキーポット】の使い手である、南波樹矢。 彼が取った行動様式――眼前で繰り広げられている行為は、冥奈の理解の範疇を優に越えていた。 「ぜひゅぅぅぅ…………ぜひゅぅぅぅ…………ん、やっぱりマンガみたいには、うまく行かないも…