ルールや規範に縛られないという点において、西乃沙羅はまさしくそれを幼年の頃から体現してきたといえよう。 手のつけられない暴れん坊とまでは行かないまでも、自らの我を通す為には何だってしてきた。力が無ければ何も出来ない。ましてや単純な力や体格で…
なんとはなしに、視界にふわふわと漂う存在があったのは気付いていた。気付いていたのだが、それは余りに露骨過ぎたのでスルーというか、無視を決め込んでいた節がある。 そんな沙羅の思惑を慮る素振りは全く見せず、目の前の少女の見た目をしたナニカはしき…
聖人君主でもなければ善人でもない。自分は紛れもないふしだらな人間だと、切に思う。 つい今しがた98人目の交際者と決別した――実質自分から振った形になるのだが――西乃沙羅は、もう何度目になるか分からない、毎度お馴染の懺悔タイムに没頭していた。 「今…