自爆霊穂“無実ちゃんと十一人の未来罪人

長編ちっくなweb小説の形をした何か。完結済。

対象→辺閂の場合【裏】

はがね色の雲を縫うようにして突き抜ける朝日の閃光が目に差したところで、辺閂(あたりかんぬき)は目を覚ました。 初夏ですらない、春真っ只中の5月某日。彼は自宅より遠く離れたC県に訪れていた。新幹線に乗り1時間弱余り。距離で表記するならば大体180…

対象→辺閂の場合【表】

たいした事も無いだろうよ、今回もきっとな。 室内に自分以外には誰もいない事は分かった上で、俺はつい独白してしまう。 電気仕掛けの四角い箱を起動させ、放送局を変えるべく小さな指示棒のゴム釦を何度か押し、お目当てであった報道番組へとチャンネルを…

【6/8 5:47:34 北園紅蘭 残刻 --:--:--】

爛々と輝く目を携えた、彼こと北園紅蘭が一度死んで結局生き返って、推理小説の名探偵が如く種明かしを披露していた所までは覚えていた。 身体表面の亀裂から溢れる青白い光に包まれ、何かを叫ぶ高低兄妹が消失したとほぼ同時ぐらいに、回理子は気を失ってし…