自爆霊穂“無実ちゃんと十一人の未来罪人

長編ちっくなweb小説の形をした何か。原則毎週水or木曜日更新。

【7/24 14:14:14 西乃沙羅 残刻 !s:to:p!】

「野垂れ死にしそうなぐらいに暑い――――酷暑、非常に酷暑」 「一番涼しげで奇抜な格好をしているのはお姉様ですけどね。そんなにお肌を露出させて、虫刺されとかは気にならないんですかぁ~?」 「薄河さんの衣装も大概だと思うけどなぁ。というか、∀κ♭4,800…

幕間闇景

殻(から)を突き破ろうとしている刻が近付いている。 光の差さない暗所の奥の辺りで、“それ”は来るべき誕生祭を心待ちにしていた。 耐え忍ぶこと凡そ四百二十五年――永劫にも思える空虚な時間を過ごしてきた過去から現在を帳消しにして、栄えある未来への到…

対象→薄河冥奈の場合【裏】

後(のち)に知ったことだが、あたしの義理の父親はそこまで不真面目な人間では無かったらしい。 ただし、怒ったならばちょっぴり乱暴になるというだけで。 とはいっても酒に酔った勢いでお母さんに暴力を二度も振るったのは事実だったし、何よりそれを娘で…

対象→薄河冥奈の場合【表】

偽りなど介入する隙も暇も無いままに、心の底から苛立ちが募って止まない。 軽里は不機嫌だった。 それは超が付くほどに。仮住まいである家具を手当たり次第破壊する程度には、苛立っていた。 「なんで・・・・・・なんでだッ! どうして女子供の一人も殺せていな…

対象→辺閂の場合【裏】

はがね色の雲を縫うようにして突き抜ける朝日の閃光が目に差したところで、辺閂(あたりかんぬき)は目を覚ました。 初夏ですらない、春真っ只中の5月某日。彼は自宅より遠く離れたC県に訪れていた。新幹線に乗り1時間弱余り。距離で表記するならば大体180…

対象→辺閂の場合【表】

たいした事も無いだろうよ、今回もきっとな。 室内に自分以外には誰もいない事は分かった上で、俺はつい独白してしまう。 電気仕掛けの四角い箱を起動させ、放送局を変えるべく小さな指示棒のゴム釦を何度か押し、お目当てであった報道番組へとチャンネルを…

【6/8 5:47:34 北園紅蘭 残刻 --:--:--】

爛々と輝く目を携えた、彼こと北園紅蘭が一度死んで結局生き返って、推理小説の名探偵が如く種明かしを披露していた所までは覚えていた。 身体表面の亀裂から溢れる青白い光に包まれ、何かを叫ぶ高低兄妹が消失したとほぼ同時ぐらいに、回理子は気を失ってし…

【6/6 7:57:02 北園紅蘭 残刻 DE:AT:H?】

野晒しであった。 幾分か雨足が遅くなってきているとはいえども、屋外で――マンションの屋上にて、地に伏した北園は風雨にさらされていた。 胸に突き刺さった、否、自らが自らに突き立てた刃は、彼の周囲をより一層赤色で染め上げている。 血が赤色の池を作っ…

【6/6 7:49:52 北園紅蘭 残刻 00:09:22】

積上げられたCDのラックを掻き分けるようにして、男はまだ十分に長さのある煙草を灰皿へと放り込んだ。 「いやね、近頃この町ってばとっても物騒じゃあ、ないですか。先々月はちょうどこの先の区間でトラックが横転する事故があったし、先月は通り魔の多発に…

【6/6 6:06:06 東洞回理子 残刻 --:--:--】

将を射んと欲すれば先ず馬を射よという諺は、案外知られているようで知られていない諺であるのはさておき。 去る1ヶ月程前まで、回理子はゲームから脱落しない為に、自らと手を組む同盟の存在を切望していた。 切望して、渇望して。 絶望に押し潰れないよう…

【5/19 8:25:25 東洞回理子 残刻 --:--:--】

神はいるのかもしれない。ひょっとしなくても、回理子は今の好転が、そう思わざるを得なかった。 北園との邂逅を果たしてから、はたして1週間と5日が経過していた。 その間、回理子は何不自由とは行かずとも、「精神的には当初に比べ安堵しているのだな」と…

【5/7 10:25:25 東洞回理子 残刻 31:00:27】

二時間と半刻ばかりの時間が経過した後、回理子はオフィスのある階層から3フロア降った来客用の応接室の前に、朴念仁とした風情で立っていた。 (さて、と) 遡ること始業前にこれからの対処法と制限時間内に鬼を終える方法を思案しながら結局妙案が思い浮か…

【5/7 7:37:41 東洞回理子 残刻 33:48:11】

十全どころか余す所無く不全であるこの状況は、何かの罰であるとしか思えない。 始業開始時間迄あと1時間はあるであろう、誰もいないオフィスの事務室にて、東洞回理子は頭を抱えていた。 (何故私がこんな目にあわなきゃならないんだ) かつて学徒であった…

【4/27 23:04:44 絵重太陽 残刻 XX:XX:XX】

奇を衒わないありふれた至って当たり前な、言うまでもない必然でしかないので、もはや文字に直すのも憚られてしまうのだが。 通常、将棋であったりチェスであったり、ゲームをに興ずる場合においては、自己と他者が存在せねばならない。 対戦ルールに則って…

【4/27 22:50:00 絵重太陽 残刻 --:--:--】

兎に角、それは突然の出来事だった。 晩飯を少女らと共に済ませ、退布高校付属中学校へ戻った後、わいわいと楽しんでいた。そこまでは良かった。 内一人である剣道少女が「肝試しをしよう」と提案をし、太陽を含む四人で夜の校舎を散策していた際、音楽室の…

【4/27 17:50:00 絵重太陽 残刻 --:--:--】

仕留め損ねた。何度目になるか分からないが、太陽は前髪をぐしゃぐしゃと撫でながら己の詰めの甘さに舌打ちをする。 ボムみに憑かれた後、一日様子をみて出来る限りのことはしたし、やれるだけのことはやったつもりであったのに。まさかあの場面で初戦の勝利…

【4/25 10:21:00 南波樹矢 残刻 00:03:12】

シャープペンシルの黒芯がぽきりと欠けた。 それが合図かというと、ただの偶然でしかない。しかしながら、ほぼ同時のタイミングで3-C教室後方の扉が、それなりに大きな音を立てて開け放たれた。 その場にいるものが皆、いっせいにそちらに顔を向ける。不自然な…

【4/25 10:07:12 南波樹矢 残刻 00:17:00】

場が一変する。何だ、この幽霊のような形をした何かは? 「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!お初にお目にかかるはワタシこと自爆霊穂”無実ちゃんだよ!遭うのはこれが始めてかな?さぁさぁさぁさぁ、早く触り返さないとバーンってなっちゃうよ!!」 …

【4/25 9:45:00 南波樹矢 残刻 --:--:--】

退布高校付属中学校3-Cクラスルーム内にて、南波樹矢は周りを気にしつつ、再びスマートフォンに視線を向ける。 先日より事前告知も何も無くインストールされたアプリケーション【BomBmaP】に今朝方、お知らせと銘打つ情報更新が為されていた。 URLを踏み、…

【4/23 18:19:44 厚山太 残刻 00:10:52】

にしても遅いな、と。 アニメキャラがプリントされた限定品であるプラスチック製の団扇をばさばさと扇ぎながらら、太は一人残されたまま独りごつ。いや、一人と一体であった。彼には現在自爆霊であるボムみがくっ付いている。 「沙羅ちゃんまだかなぁ。緊張…

【4/23 17:51:31 西乃沙羅 残刻 20:13:05】

もうじき日が落ちるかと思いきや、存外まだ外は明るかった。 自宅から出発した後、アプリのマップ機能を頼りに歩を進めてゆく。 つい最近まで寒かったが、ようやく春の兆しが町にみえてきたようだ。少し遅咲きの桜が夕暮れに映える。 他プレイヤーを指す青色…

【4/23 16:34:12 西乃沙羅 残刻 21:30:24】

ルールや規範に縛られないという点において、西乃沙羅はまさしくそれを幼年の頃から体現してきたといえよう。 手のつけられない暴れん坊とまでは行かないまでも、自らの我を通す為には何だってしてきた。力が無ければ何も出来ない。ましてや単純な力や体格で…

【4/21 14:14:57 西乃沙羅 残刻 71:49:37】

なんとはなしに、視界にふわふわと漂う存在があったのは気付いていた。気付いていたのだが、それは余りに露骨過ぎたのでスルーというか、無視を決め込んでいた節がある。 そんな沙羅の思惑を慮る素振りは全く見せず、目の前の少女の見た目をしたナニカはしき…

【4/21 14:04:23 西乃沙羅 残刻 72:00:00】

聖人君主でもなければ善人でもない。自分は紛れもないふしだらな人間だと、切に思う。 つい今しがた98人目の交際者と決別した――実質自分から振った形になるのだが――西乃沙羅は、もう何度目になるか分からない、毎度お馴染の懺悔タイムに没頭していた。 「今…

目録

第1話:女狼は驕豚を喰らう ◆4/21 14:04:23 西乃沙羅 残刻 72:00:00 ◆4/21 14:14:57 西乃沙羅 残刻 71:49:37 ◆4/23 16:34:12 西乃沙羅 残刻 21:30:24 ◆4/23 17:51:31 西乃沙羅 残刻 20:13:05 ◆4/23 18:19:44 厚山太 残刻 00:10:52 第2話:少年は太陽に灼かれ…