一瞬の出来事だった。 不意に前方を覆い尽くした巨大な何かに衝突され、四肢が千切れ宙を舞い、地面に叩きつけられた直後ですら、未だ我が身に起こった危機的状況が把握出来ない――一瞬の出来事だった。 甚大なる被害はもはや痛覚すら感じさせず、意識がある…
門の先へ足を踏み入れたその大罪人は、黙々と長く暗い廊下を歩く。 傍らには事の発端ともいえるような存在――自爆霊であるボムみが寄り添うようにふわふわと浮遊していた。 『先に行っておくけど、この先で君はその生涯を終えるかもしれない』 『このゲームを…
鳴雷(なるかみ)の音がどこか遠くから聞こえてきている。 そう遠くない位置なのか、あるいは意識が白濁としている幻聴なのか、ともかくとして今の彼には定かではない。 あるいはこれが死後の世界なのだろうかと邪推しかけもしたが、頭も体もどうやらまだ起…