順風満帆。 その瞬間までは概ねそんな四字熟語の通り、うまくいっていたのだろう。 負ければ即爆死のデスゲームにおいて、彼こと北園紅蘭は戦略上わざと命を落とした後に息を吹き返すという荒業をやってのけたが、事実上の決勝戦においても、未だ生きている…
“欲望の坩堝”即ち固有能力【ジャンキーポット】の使い手である、南波樹矢。 彼が取った行動様式――眼前で繰り広げられている行為は、冥奈の理解の範疇を優に越えていた。 「ぜひゅぅぅぅ…………ぜひゅぅぅぅ…………ん、やっぱりマンガみたいには、うまく行かないも…
すべからく、回理子は火急迅速に惨劇の渦中から離れるべきであったのかもしれない。 それでも彼女は、まるで地に根が生えたかのようにその場から動けなかった。 殺戮の根源たる追跡者へと単身で切り込んでいった彼氏――北園紅蘭の一挙手一投足に、目が離せな…