殻(から)を突き破ろうとしている刻が近付いている。 光の差さない暗所の奥の辺りで、“それ”は来るべき誕生祭を心待ちにしていた。 耐え忍ぶこと凡そ四百二十五年――永劫にも思える空虚な時間を過ごしてきた過去から現在を帳消しにして、栄えある未来への到…
後(のち)に知ったことだが、あたしの義理の父親はそこまで不真面目な人間では無かったらしい。 ただし、怒ったならばちょっぴり乱暴になるというだけで。 とはいっても酒に酔った勢いでお母さんに暴力を二度も振るったのは事実だったし、何よりそれを娘で…
偽りなど介入する隙も暇も無いままに、心の底から苛立ちが募って止まない。 軽里は不機嫌だった。 それは超が付くほどに。仮住まいである家具を手当たり次第破壊する程度には、苛立っていた。 「なんで・・・・・・なんでだッ! どうして女子供の一人も殺せていな…