神はいるのかもしれない。ひょっとしなくても、回理子は今の好転が、そう思わざるを得なかった。 北園との邂逅を果たしてから、はたして1週間と5日が経過していた。 その間、回理子は何不自由とは行かずとも、「精神的には当初に比べ安堵しているのだな」と…
二時間と半刻ばかりの時間が経過した後、回理子はオフィスのある階層から3フロア降った来客用の応接室の前に、朴念仁とした風情で立っていた。 (さて、と) 遡ること始業前にこれからの対処法と制限時間内に鬼を終える方法を思案しながら結局妙案が思い浮か…
十全どころか余す所無く不全であるこの状況は、何かの罰であるとしか思えない。 始業開始時間迄あと1時間はあるであろう、誰もいないオフィスの事務室にて、東洞回理子は頭を抱えていた。 (何故私がこんな目にあわなきゃならないんだ) かつて学徒であった…